障害年金のご依頼をいただく中で最近気になっているのが、病院等で告げられている診断名とご本人の症状とが違うというケースです。
例えばAさんは主治医には統合失調症と診断されているのに、直接ご本人とお会いしてお話させていただくと、幻聴も妄想もほぼない状態。よくよくお話を伺ったり支援者の方にも詳しい状況を伺うと、発達障害ではないかと感じるもの。
跡えばBさんの場合だと、発病から7年くらい経っていて、これまで数か所医療機関を変わっておられますが、いずれも双極性障害と診断されていたとのこと。ですが、実際にお会いしてみると「どこが双極性?」と感じられる症状。詳しい先生に診ていただくと、強迫性障害と抑うつ症状が併存しているものだったというもの。
しかもBさんに関しては、これまで何人か社労士を変えておられて(いずれも請求手続きまでは至らず断ってきた。そしてそれもご病気の症状によるもの)、前の社労士は双極性障害で請求しようとしていたとのこと。この方の場合、果たして双極性障害で診断書を書いていただいたとして、しっかりとその症状を反映した診断書が書けるのかというところがすごく疑問です。少なくとも私はBさんに関しては双極性障害で障害認定をとれる自信がありませんでした。だって明らかに症状が違うんですから。
ですのでご本人にも納得していただいた上で、発達障害に詳しい先生のいらっしゃるクリニックに変わっていただきました。その結果ご本人も私も納得できる診断書を書いていただくことができました。
これらのことについて知り合いの信頼の置けるワーカーさんに尋ねると、発達障害は日本ではまだほんの20年程前に認識されるようになった分野だから、本当に理解して適切な治療ができる医師は少ないとのことでした。
発達障害の方は直接お話してもお元気でしっかり対応してくださる方が多く、なかなかその生きづらさという部分が見えにくく、私自身も「この方は本当に障害年金を受給するべき人なんだろうか」と感じることが正直多いです。その見極めは熟練ワーカーさん引いては医師でもむずかしいとのこと。
元々精神の病気は目に見えないもの。その上、医学に関して素人の私が果たして当事者さんに上のようなことを言ってよいのかという葛藤がいつもあります。ですが、ご本人が障害年金の受給を本当に必要とされているのなら、やはり自分が思ったことはしっかり伝えてご理解いただいた上で、業務に当たらせていただくことが社労士としての自分の役目ではないかと考えています。そして今後更に勉強をしてゆかなければと感じています。